「個人再生」という言葉を僕がちゃんと調べ始めたのは、借金の返済がかなり苦しくなってからだった。

名前だけを見ると、なんとなく意味は分かる。

個人を、再生する。

かなり強そうである。

でも実際には、借金が全部なくなるのか、一部を返すのか、自己破産とは何が違うのか。最初の僕は、そのくらいのこともよく分かっていなかった。

その後、僕自身も弁護士へ依頼し、個人再生の申立てや個人再生委員との面談、開始決定などを実際に経験した。

この記事では、裁判所などの公的情報をもとに「個人再生とは結局どんな制度なのか」を整理しながら、必要なところでは僕自身の体験も紹介する。

僕は法律家ではないので、制度としての説明と「匿名男の場合」は分けて書く。 個別の事情によって利用できる制度や返済額は変わるため、自分の場合については弁護士などの専門家に確認してほしい。


個人再生を一言でいうと?

個人再生は、今の条件では借金の返済が難しい人が裁判所を利用して再生計画を作り、一定額を原則3年間で返済することで、残った債務の免除を目指す手続きだ。

将来にわたって継続的な収入を得る見込みがあり、住宅ローンなどを除く債務の総額が5000万円以下であることなどが利用の前提となる。再生計画が認可され、その計画どおりに返済すると、原則として残った債務の免除を受けられる。

出典: 裁判所「個人再生手続」

かなり簡単にまとめるなら、

「返せない借金をゼロにする」のではなく、「返していける形に組み直して生活を立て直す」制度

と考えるとイメージしやすい。

ただし、「個人再生を申し立てた=借金の減額決定」ではない。

申立てをしたあとにも、開始決定、債権の調査、再生計画案の作成、債権者による決議または意見聴取、裁判所による認可などの手続きが続く。

匿名男の場合

僕自身も、実際に手続きを始めてみると、書類を集めたり、借金が増えた経緯を振り返ったり、裁判所へ提出する資料を整えたりと、いくつもの準備や手続きが必要だった。

書類集めや過去の振り返り、諸々の手続きには、それなりに時間がかかる。

実際に何があったのかは、STORYに時系列で残している。

「ついに個人再生の手続きへ。」


個人再生を利用できるのはどんな人?

大きな条件の一つが、この先も返済を続けられるだけの収入が見込めることだ。

個人再生では、再生計画が認可されたあとも一定期間の返済が続く。そのため、「借金は払えないけれど、収入もまったくない」という状態ではなく、将来にわたって継続的・反復的に収入を得られる見込みが必要になる。

また、個人再生の対象となる住宅ローンなどを除く債務総額は5000万円以下である必要がある。

出典: 裁判所「個人再生手続」

ざっくり言えば、

今の条件のまま返済を続けるのは難しい。でも、負担を整理できれば返していけそう。

そんな人が検討する制度の一つだ。

ただし、利用できるかどうかは収入や借金額だけでは決まらない。財産、借金の内容、住宅ローンの有無など、個別の事情も関係する。

「会社員だからできる」「借金が250万円だからできる」と単純には判断できない。


個人再生には2種類ある

個人再生には、小規模個人再生給与所得者等再生の2種類がある。

小規模個人再生

将来、継続的または反復的に収入を得る見込みがある人などが利用する手続きだ。

「小規模」と書いてあるので、最初は何が小さいのかと思うけれど、会社員でも利用することがある。

大きな特徴は、再生計画案について債権者による決議が行われること。

不同意と回答した議決権者が総数の半数に満たず、かつ、不同意の議決権額が総額の2分の1を超えなければ、再生計画案は可決したものとみなされる。逆に、この条件を満たさない場合は小規模個人再生をそのまま進められない。

出典: 東京地方裁判所「個人再生手続について」

匿名男の場合

僕が選んだのは、小規模個人再生だった。

任意整理、自己破産、個人再生のどれを選ぶかは、当時かなり悩んだ。

なぜ最終的に個人再生を選んだのかは、STORYに詳しく書いている。

「なぜ個人再生を決めたのか。」

給与所得者等再生

給与所得者等再生は、小規模個人再生の要件を満たす人のうち、給与などの定期的な収入があり、その変動の幅が小さいと見込まれる場合に利用できる手続きだ。

こちらは小規模個人再生のように再生計画案について債権者の賛否を問う方式ではなく、債権者から意見を聴く形になる。

一方、返済額を計算するときには2年分の可処分所得という基準も加わるため、小規模個人再生より返済額が高くなるケースもある。

出典: 大阪地方裁判所「個人再生手続」


個人再生すると借金はいくらまで減る?

ここは、僕も最初に一番気になった。

ネットで個人再生を調べると、

「借金が5分の1になる」

という説明をよく見かける。

でも、必ず5分の1になるわけではない。

債務総額だけから見た最低返済額の基準は、おおむね次のようになっている。

債務総額 債務額から見た最低返済額
100万円未満 全額
100万円以上500万円以下 100万円
500万円超~1500万円以下 債務総額の5分の1
1500万円超~3000万円以下 300万円
3000万円超~5000万円以下 債務総額の10分の1

出典: 大阪地方裁判所「個人再生手続」

たとえば、借金が250万円なら、債務総額だけから計算した場合は100万円が一つの基準になる。

匿名男の場合

僕の借金は約250万円だった。

個人再生について調べて、「100万円が一つの基準になり得る」と知ったことはかなり大きかった。

250万円と100万円。

150万円違う。

そりゃ気になる。

ただし、ここがとても重要。

借金が250万円だから、必ず100万円まで減るわけではない。

個人再生では、自分の財産を処分したと仮定したときに債権者へ配当できる金額、いわゆる清算価値も返済額に影響する。預貯金や保険、不動産など一定の財産が多ければ、債務額だけから計算した最低額より返済額が高くなることがある。

給与所得者等再生なら、さらに2年分の可処分所得という基準も関係する。

なので、この章で覚えてほしいことは一つ。

借金額だけを見て、最終的な返済額は決められない。

返済額については、別のGUIDEで詳しく整理する。


個人再生の手続きはどう進む?

裁判所が案内している基本的な流れは、次のようになっている。

申立て → 開始決定 → 債権届出・債権調査 → 再生計画案の提出 → 決議または意見聴取 → 再生計画の認可 → 再生計画に基づく返済

出典: 東京地方裁判所「個人再生手続について」

制度の図だけを見ると、一本の矢印で順番に進んでいくように見える。

ただ、実際にはその途中で書類をそろえたり、内容を確認したり、必要に応じて弁護士や個人再生委員とやり取りしたりする。

匿名男の場合

僕の場合も、申立てのあとに個人再生委員との面談があり、その後、裁判所から開始決定が出た。

具体的に何を提出し、どんなやり取りがあったのかは、STORYにそのまま残している。

「ついに個人再生の手続きへ。」

「個人再生委員との面談。」

「個人再生、開始決定。」

なお、東京地裁では個人再生事件について原則として個人再生委員を選任する運用となっており、計画弁済予定額を毎月振り込む履行テストも行われている。

裁判所によって運用が異なる可能性があるため、これは全国共通の流れとして扱わないこと。

出典: 東京地方裁判所「個人再生手続について」


個人再生のメリット

借金そのものを減らせる可能性がある

僕にとって最も大きかったのはここだった。

任意整理も検討したが、個人再生では法律上の基準や財産状況などに基づいて、返済する債務そのものを大きく減らせる可能性がある。

ただ毎月の支払いを少し軽くするのではなく、生活を立て直せる返済額まで整理できる可能性がある。

これは個人再生の大きな特徴だ。

財産をすべて処分することを前提とした制度ではない

自己破産では、破産手続の中で一定の財産を換価し、債権者へ配当することが基本となる。

個人再生は、それとは仕組みが異なる。財産を保有したまま手続きを進められる場合がある一方、その財産の価値は清算価値として返済額に影響する。

つまり、

「財産を持っていても関係ない」のではなく、「持っている財産も含めて返済額を考える」。

という理解の方が近い。

条件を満たせば住宅を維持できる仕組みがある

一定の条件を満たす場合、住宅ローンについて特別な条項を再生計画に設けることで、住宅を維持しながら個人再生を進められることがある。

出典: 裁判所「民事事件Q&A」

住宅を手放さずに生活再建を目指したい人にとっては、大きな特徴だ。

僕には住宅ローンがなかったので、ここは実体験ではない。


個人再生のデメリット・注意点

裁判所を使うので、手続きはかなり本格的

個人再生は裁判所を利用する法的手続きなので、申立書だけ提出して終わりではない。

収入、財産、債権者、家計などを確認するための資料が必要になる。東京地裁の申立案内でも、債権者一覧表、収入資料、給与明細など、複数の書類の提出が求められている。

匿名男の場合

僕も銀行口座、給与、家計、借金の経緯など、かなり細かく確認された。

少額の入金について「これは何ですか」と聞かれたこともある。

本当に見る。

申立て前に実際に集めた資料や、どこまで確認されたのかはSTORYに詳しく書いている。

「ついに個人再生の手続きへ。」

返済は残る

個人再生は、自己破産の免責とは違い、再生計画に従った返済が残る。

返済期間は原則3年間で、特別な事情がある場合には最長5年間となる。

つまり、

借金問題を整理して、ここから返していく制度

でもある。

小規模個人再生では債権者の不同意が影響する

小規模個人再生では、再生計画案について債権者による決議が行われる。

先ほど説明した一定以上の不同意があれば、再生計画案が可決されたものとは扱われない。

ここは、小規模個人再生を検討するときに知っておきたいポイントだ。

官報に公告される

個人再生では、開始決定や認可決定などが官報に公告される。

僕も個人再生について調べ始めた頃、ここで思った。

官報ってなんぞや。

官報については、それだけで一つの記事にできるので別のGUIDEで整理する。

信用情報への影響がある

債務整理をすると、ローンやクレジットの契約・返済状況などが信用情報機関に登録され、新たな借入れやクレジットカードなどの審査に影響する可能性がある。

ただし、よく使われる「ブラックリストに載る」という表現はかなり大ざっぱだ。

たとえばCICは、民事再生を申し立てた事実そのものをコメントとして登録する項目はないと説明している。一方、JICCでは債務整理などの取引事実や返済状況などを登録対象としている。

登録内容や期間は信用情報機関や契約状況によって異なるため、「個人再生なら一律○年間」と雑にまとめない。

出典: CIC「クレジット会社等が登録する『申込情報』『クレジット情報』」

信用情報については別のGUIDEで詳しく整理する。


任意整理・個人再生・自己破産は何が違う?

借金問題を整理する方法は、個人再生だけではない。

法テラスも、主な債務整理の方法として任意整理、破産、個人再生、特定調停を案内している。

出典: 法テラス「借金の返済でお困りの方へ」

大まかな違いを整理すると、こうなる。

任意整理 個人再生 自己破産
裁判所 原則使わない 使う 使う
基本的な考え方 債権者と返済条件を交渉 再生計画に基づき一定額を返済 破産・免責手続で返済義務の免除を目指す
その後の返済 あり あり 免責されれば原則なし※
財産 裁判所による清算は原則なし 財産価値が返済額に影響 一定の財産が換価対象になる場合がある
裁判所への資料提出 原則なし 多い 多い

※税金など、免責されない債務もある。

任意整理は裁判所を利用せず、債権者と返済条件について話し合う方法。一方、個人再生と自己破産は裁判所を利用する手続きだ。

どれが一番優れている、という話ではない。

その人の借金、収入、財産、仕事、生活状況によって向いている方法が違う。


僕が個人再生を選んだ理由

僕の場合、借金は約250万円だった。

任意整理、自己破産、個人再生。全部調べた。

任意整理については、返済額そのものが大きく残った場合、また生活費が足りなくなるのではないかという不安があった。

それまでの僕は、

返済する → 生活費が足りない → 借りる → また返済する

を何年も繰り返していた。

だから、「毎月の負担を少し軽くする」だけで本当にこのループから抜けられるのか、自信がなかった。

自己破産も調べた。

借金の返済義務を免除してもらえる可能性があるので、正直かなり魅力的だった。

ただ、僕の場合は仕事で使っている資格への影響が気になったこともあり、現実的には選びにくかった。

また、これは完全に僕個人の感覚だけれど、自分で増やした借金を全部ゼロにするより、返せる範囲は返したいという気持ちもあった。

これは自己破産を否定する話ではない。僕にとって、というだけの話である。

そこで最終的に選んだのが個人再生だった。

借金を全部ゼロにはしない。でも、生活を壊さずに返していけるところまで整理する。

それが当時の僕には、一番現実的に感じられた。

この選択に至るまでの実際の迷いや経緯は、STORYに詳しく書いている。

「なぜ個人再生を決めたのか。」


実際にやってみて分かったこと

個人再生を実際に経験して感じたのは、単に**「借金を減らす制度」ではなかった**ということだ。

家計を見る。
口座を見る。
収入を見る。
過去の借金を見る。

そして最後に、

この先どう暮らすのかを見る。

僕の場合、個人再生委員との面談の最後には、今後のお金の管理や貯金、資産形成についての話までしてもらった。

少し前まで考えていたのは、「今月の返済をどうするか」だった。

それが、その面談では「借金を返した先で、どうお金を残していくか」という話をしている。

かなり不思議な感覚だった。

でも、そのとき初めて少しだけ、

借金を片づけるだけではなく、生活そのものを作り直す手続きなのかもしれない。

と思った。

最初は「個人再生」という名前を、ずいぶん大げさだと思っていた。

今は、

そこまで変な名前でもない気がしている。

そのときの個人再生委員とのやり取りは、STORYに詳しく残している。

「個人再生委員との面談。」


個人再生を検討している人へ

個人再生を検索すると、

「借金が5分の1になる」

「100万円まで減る」

といった、分かりやすい数字が目に入る。

僕もそこに惹かれた一人だ。

でも実際には、借金額だけでは決まらない。

収入や財産、借金の内容、選ぶ手続きなどを確認したうえで、最終的には減額された後の金額を本当に返していけるのかが重要になる。

個人再生は書類も多く、再生計画案など専門的な手続きも必要になる。

自分が利用できるのか、どの方法が合っているのかは、ネット上の簡単なシミュレーションだけで決めず、必要に応じて弁護士などの専門家へ相談した方がいい。

このサイトでは、制度だけを説明するのではなく、僕自身が実際に経験したこともSTORYとして残している。

うまくいったことだけを書くつもりはない。

不安だったこと。
想定外だったこと。
弁護士とのやり取り。
裁判所の手続き。

そのとき実際に起きたことを、そのまま残していく。

GUIDEで制度を知り、STORYで実際の流れを見る。

両方を行き来することで、個人再生という手続きが少しでも具体的に見えてくればと思う。


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「個人再生委員との面談。」

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「なぜ個人再生を決めたのか。」