4月30日。
判決。
強制執行。
全銀行口座0円。
勤務先は知られている。
急に、
話が物騒になった。
そして、
個人再生の申立ても、
急いで進めることになった。
ここまで僕は、
「申立て、まだかな」
と思っていた。
いざ急ぐことになると、
急ぎ方が怖い。
担当者が変わった
5月。
これまで担当していた弁護士から、
ここからは同じ事務所の別の弁護士が担当する
という連絡が来た。
女性の弁護士だった。
正直、
少し不安だった。
判決が出て、
強制執行という言葉まで出てきて、
僕としては、
今すぐ申立ててほしい。
そんなタイミングで、
担当者が変わる。
今から?
とは思った。
ところが、
その不安は、
かなり早く消えた。
女性弁護士から、
申立て準備についてのメールが届いた。
必要書類。
家計。
銀行口座。
給与。
税金。
退職金。
借金の経緯。
返済について。
なるほど。
急に本気出してきた。
そして何より、
返信が速かった。
僕が答える。
返ってくる。
追加の質問が来る。
答える。
また返ってくる。
速い。
これまで、
弁護士とのメールでは、
何度かヤキモキしてきた。
だから、
「送ったら返事が来る」
というだけで、
ものすごく安心する。
しかも、
とても丁寧だった。
担当が変わると聞いたときの不安は、
一瞬で消し飛んだ。
ここから、
僕の個人再生が、
一気に動き始めた。
とにかく資料を出す。再び。
書類が多いこと自体は、
もう知っていた。
2025年9月に契約したときにも、
一度、
銀行口座や家計など、
いろいろな資料を提出している。
だから、
個人再生、書類多いな。
という驚きは、
すでに一回やっている。
今回は、
そこから申立てまで時間が経っている。
当然、
僕の生活も更新されている。
直近の家計。
給与明細。
源泉徴収票。
契約後から現在までの銀行口座の履歴。
税金関係。
退職金があるのか分かる資料。
その他、
指定されたもの。
つまり、
もう一度出す。
匿名男、最新版。
契約した頃からの変更点も、
なかなか多い。
引っ越した。
同居した。
訴えられた。
判決が出た。
大型アップデートである。
銀行口座についても、
普段使っているものだけではない。
昔作った口座。
ほとんど使っていない口座。
ネット銀行。
目的別に分けていた口座。
全部、
改めて確認する。
匿名男の金融史、再び開示。
借金の歴史を説明してください
書類だけではなかった。
どうして、
借金がここまで増えたのか。
最初に借りたのはいつか。
何のためだったのか。
いつ頃、
返済が苦しくなったのか。
引っ越しには、
いくらかかったのか。
その頃の収入はいくらだったのか。
毎月、
どれくらい返していたのか。
なぜ個人再生を選んだのか。
質問が、
かなり具体的である。
僕は過去を思い出しながら、
一つずつ書いた。
最初に借りたのは、
仕事を変えた頃。
仕事用の服を買うお金がなかった。
その後、
生活費。
パソコン。
引っ越し。
返済。
また借りる。
交際相手と別れて、
一人暮らしに戻る。
生活費が増える。
クレジットカード。
リボ。
以前の記事で書いた、
匿名男の借金人生を、
今度は弁護士へ提出するために、
真面目な文章で説明していく。
ブログなら、
「借金だけがすくすく育った」
で済む。
裁判所へ出す資料では、
たぶん済まない。
そして、競馬
ここで一つ、
今まで書いていなかったことがある。
実は僕、
競馬を少しかじったことがある。
友人との付き合いなどで、
数か月やっていた。
競馬にハマって借金を作った、
という話ではない。
ただ、
個人再生をお願いするときには、
こういうことも伝える必要がある。
弁護士と契約したときにも、
競馬をやっていたことは伝えていた。
そのときは、
期間や金額を、
だいたいこのくらい、
と話した程度だった。
わりとサラッと終わった。
ところが今回は、
申立てである。
女性弁護士から、
競馬について、
詳しく確認したいと言われた。
……。
詳しく?
いつから。
いつまで。
いくら買った。
いくら戻ってきた。
銀行口座の履歴を見ながら、
一つずつ確認する。
購入した日。
購入額。
払戻し。
時系列でまとめる。
さらに、
借金をして競馬をしていたのか。
そこも聞かれた。
していない。
付き合い程度に、
数か月やっていただけだった。
借金約250万円の原因が、
競馬だったわけでもない。
そのことを、
きちんと説明する。
銀行口座、よく見てる。
当たり前である。
見るために提出している。
そして僕は、
娯楽でやっていたときより、
はるかに真剣に、
過去の競馬を集計した。
競馬をやめたあとに、
弁護士と収支を振り返ることになるとは、
当時の僕は知らない。
イラストの収入も聞かれる
さらに、
僕は絵を描いていた。
展示をしたり、
作品を販売したこともある。
そのため、
その収入についても確認された。
どれくらい売上があるのか。
継続的なのか。
証明できる資料はあるのか。
ほとんど、儲かっていない。
悲しい。
しかし、
個人再生では、
そこも説明する。
過去の販売記録を探し、
資料を出す。
借金。
銀行口座。
給与。
競馬。
イラスト。
僕の人生、全部見られている。
こうなってくると、
もう恥ずかしさも薄れてくる。
出せと言われたものを、
出す。
聞かれたことに、
答える。
とにかく、
申立てを進めたい。
ゴールデンウィーク、資料集め
ちょうど、
ゴールデンウィークだった。
世間は、
連休。
旅行。
帰省。
レジャー。
匿名男は、
銀行口座を掘っている。
給与明細。
源泉徴収票。
家計。
通帳。
ネット銀行。
昔の借金。
競馬。
イラスト。
連休の使い方として、
かなり渋い。
ただ、
このときは、
嫌ではなかった。
判決が出ている。
強制執行も怖い。
早く個人再生を申立てたい。
だから、
聞かれたものは、
できるだけ早く出した。
5月7日。
5月8日。
さらに質問が来る。
答える。
足りない資料を探す。
また送る。
個人再生、急に忙しい。
使っていない口座まで
さらに、
長いこと使っていない銀行口座も確認した。
残高はいくらか。
今も使えるのか。
必要なら、
銀行へ行って確認する。
僕自身、
存在をほとんど忘れていたような口座もあった。
忘れていたのに、
裁判所に出すとなると、
思い出さなければならない。
過去の自分、口座作りすぎ。
この頃には、
僕の銀行口座事情について、
僕より担当弁護士の方が詳しいのではないか、
という気さえしてくる。
5月12日
そして、
5月12日。
担当の弁護士から、
連絡が来た。
申立ての書類が、
ほぼできている。
今日、東京地裁へ申立てる予定です。
来た。
ついに。
2025年9月。
弁護士と契約した。
半年以上が経った。
弁護士費用を払い終えた。
訴えられた。
判決も出た。
強制執行という言葉にも怯えた。
大量の資料を出した。
過去の競馬まで調べた。
そしてようやく、
個人再生を申立てる。
最後まで確認は続く
とはいえ、
その日の朝まで、
質問は来た。
現在、
現金はいくら持っているか。
使っていない口座の残高はどうなっているか。
銀行口座に入っている、
この少額の入金は何か。
細かい。
本当に細かい。
僕は、
一つずつ答えた。
現在の現金。
口座残高。
定期的な支払いに残しているお金。
少額の入金については、
仕事に関係する交通費の精算だった。
1,197円まで説明する。
個人再生、
1円単位で僕を見てくる。
判決も、今日確定する
この日、
もう一つ重要なことがあった。
あの訴訟の判決。
4月22日に判決が出て、
4月28日に送達されていた。
そして、
5月12日。
判決が確定する日だった。
つまり、
判決が確定するその日に、
個人再生を申立てる。
なかなか、
ギリギリ感がある。
僕は、
強制執行のことが頭にあった。
だから、
本当に申立てができたのか、
かなり気になった。
弁護士へ確認した。
申立ては終わりましたか。
事件番号は出ましたか。
以前の僕なら、
「そのうち連絡来るだろう」
と待っていたかもしれない。
もう、
そんな余裕はない。
確認する。
「申立て完了しました」
その日のうちに、
返信が来た。
申立ては、
無事受理された。
事件番号も出た。
そして、
訴訟を起こした債権者には、
個人再生を申立てたことを、
FAXで連絡したという。
……。
終わった。
いや、
終わってはいない。
むしろ、
これからである。
でも、
僕にとっては、
ものすごく大きな一区切りだった。
ずっと、
「個人再生をする」
と言っていた。
弁護士とも契約した。
費用も払った。
資料も出した。
でも、
裁判所には、
まだ何も出していなかった。
それが、
2026年5月12日。
ようやく、
本当に個人再生を申立てた。
事件番号をもらう
事件番号も出た。
もちろん、
それを見ても、
僕には何が何だかよく分からない。
ただ、
番号がついた。
裁判所で、
僕の個人再生が、
一つの事件として扱われ始めた。
少し前まで、
裁判では、
被告。
今度は、
個人再生の、
申立人。
2026年。
肩書きが、
忙しい。
ただ、
今度の肩書きは、
自分で選んだものだった。
借金から逃げるためではない。
生活を立て直すために、僕自身が申し立てた。
やっと、
ここまで来た。
そして翌日。
法律事務所から、
また連絡が来た。
個人再生委員が、
決まったらしい。
出た。
個人再生委員。
前にネットで見た、
なんかすごい名前の人。
今度は、
本当に会うことになる。