現在38歳。
会社員。
借金、約250万円。
……どうしてこうなった。
というわけで。
個人再生の話をする前に、
なぜ借金が250万円になったのか
という話から始めたい。
ちなみに最初から250万円借りたわけではない。
当たり前である。
「250万円貸してください」
から始まっていたら、さすがに僕も何かがおかしいことに気づく。
最初に借りたのは、
たった5〜10万円くらいだった。
漫画家になりたかった
僕は漫画家になりたかった。
専門学校を卒業して、上京した。
漫画を描くには時間が必要だ。
だったら、
働く時間を減らせばいい。
ということで、週3日くらいのアルバイト生活をしていた。
働く時間を減らす。
↓
漫画を描く時間が増える。
↓
漫画家になる。
完璧である。
なお、
金はない。
本当になかった。
ただ、この頃は借金もなかった。
金がない。
↓
買えない。
↓
終了。
非常にシンプルな経済システムである。
貧乏ではあった。
でも借金は0円だった。
漫画を描くために働かなかった結果
そんな生活を続けて20代後半。
だんだん、おかしくなってきた。
お金がない。
将来も不安。
漫画家という夢も、近づいているどころか、
なんか遠くなってない?
と思うようになった。
焦る。
↓
落ち込む。
↓
絵を描かなくなる。
↓
絵を描いていない自分に焦る。
↓
さらに落ち込む。
…………。
何をしているんだ僕は。
漫画を描くために仕事をセーブしているのに、
お金がないせいで心に余裕がなくなって、
肝心の漫画を描かなくなっていた。
そこで27〜28歳くらいの僕は、ようやく気づく。
「こんなに漫画を描くために仕事をセーブしてて、心が乱れて描けないなら、いっそ働いた方が良いんじゃない!?」
気づくのに何年かかったのかは、
考えないことにする。
こうして僕は、
ちゃんと働くことにした。
働くぞ!
転職先が決まった。
よし。
これからはちゃんと働こう。
心機一転である。
ところで仕事にはスーツが必要だった。
…………。
スーツを買う金がない。
漫画家を目指して極貧生活をしていた男に、
新品のスーツを何着か揃える貯金など存在しない。
そこで僕は、
初めてカードローンを使った。
借りた金額は、たしか5〜10万円くらい。
これが人生最初の借金だった。
理由は、
働くため。
遊ぶためでもない。
ブランド品を買うためでもない。
豪遊するためでもない。
借金生活の第一歩が、
「ちゃんと働こう!」
だったのだから、
人生というのはよく分からない。
とはいえ、当時はそこまで深刻には考えていなかった。
これから毎月給料が入る。
働けば返せる。
実際、このとき利用したカードローンは後に完済している。
だから僕の中では、
借金=必要なときにちょっと借りて、あとで返すもの
くらいの認識だった。
ここからである。
働いたら、むしろ絵が描けるようになった
ちゃんと働くようになった。
収入も増えた。
すると、生活に少し余裕ができた。
そして皮肉なことに、
絵が描けるようになった。
漫画を描く時間を作るために仕事を減らしていた頃より、
働いている今の方が描ける。
なんでだよ。
でも理由は単純だったと思う。
お金がない。
どうしよう。
将来どうしよう。
そんなことばかり考えていた時間が減った。
生活が安定すると、
気持ちにも少し余裕ができる。
仕事をする。
家に帰る。
絵を描く。
僕には、この生活の方が合っていた。
ここまでは良かった。
ここまでは。
「返せるから大丈夫」
収入が増えた。
生活にも少し余裕ができた。
絵も描けるようになった。
すると当然、
使う場面も増えた。
制作に使うPC。
人付き合い。
恋愛。
引っ越し。
その他いろいろ。
極貧時代は、
金がない。
↓
買えない。
↓
終了。
だった。
でもカードローンを知った僕には、
新しい選択肢が追加されていた。
金がない。
↓
借りる。
↓
買える。
文明開化である。
もちろん、借りたら返す。
毎月ちゃんと返済する。
ところが。
返済する。
↓
生活費が減る。
↓
生活費が足りない。
↓
借りる。
↓
翌月また返済する。
↓
生活費が足りない。
↓
借りる。
…………。
あれ?
返しているのに、減らない
30歳前後には、別のカードローンも使うようになっていた。
でも当時の感覚としては、
「借金がどんどん増えている」
というより、
「今月ちょっと足りないから補う」
だった。
これが非常によろしくない。
給料は毎月入ってくる。
返済もしている。
家賃も払っている。
普通に会社にも行っている。
つまり、
生活できているように見える。
実際には、
給料だけでは足りない生活を、
借金で延命しているだけなのだが。
当時の匿名男、
そんなことは知らない。
31歳、引っ越す
31歳くらいの頃。
当時付き合っていた相手との生活のため、引っ越すことになった。
引っ越しというものは、
びっくりするほど金がかかる。
敷金。
礼金。
引っ越し代。
家具。
その他。
金がない。
でも、もう僕は知っている。
借りればいい。
このとき、引っ越し費用としてさらに約25万円を借りた。
当時の手取りは、
月20〜21万円くらい。
そして返済額は、
月によって7〜15万円くらい。
手取り20万円。
返済15万円。
残り5万円。
家賃。
食費。
光熱費。
その他。
…………。
無理じゃね?
はい。
無理です。
ただ、当時はこの「無理」を、
さらに借りることで突破していた。
突破してない。
先送りしているだけである。
普通に生活しているだけなのに
ここから数年、
借金は生活の中に完全に組み込まれていった。
給料日。
↓
返済。
↓
生活。
↓
足りない。
↓
借りる。
↓
給料日。
これを繰り返す。
不思議なもので、
こうなると借金があること自体には慣れてくる。
会社員として普通に働いている。
家賃も払っている。
絵も描いている。
友達とも遊ぶ。
恋愛もする。
見た目は普通の生活である。
ただ、その普通の生活の地下で、
借金だけが育っている。
すくすくと。
育たなくていい。
35歳、一人暮らしに戻る
35歳の頃。
交際相手と別れ、一人暮らしに戻った。
ここで状況が一気に苦しくなった。
この頃には手取りも、
月23〜24万円くらいになっていた。
20代の頃より稼いでいる。
なのに。
20代の極貧時代より金がない。
なぜなら返済額も育っているからである。
月10万円。
多い月には20万円を超える。
手取り24万円。
返済20万円。
残り4万円。
ここから家賃。
…………。
算数が成立していない。
来月の匿名男に任せる
当然、生活費が足りない。
そこでクレジットカードを使う。
翌月。
請求が来る。
払う。
現金がなくなる。
またカードを使う。
それでも厳しい。
そこでリボ払い。
すると。
今月の匿名男は助かる。
よかった。
では、この支払いは誰がするのか。
来月の匿名男である。
よろしくお願いします。
そして翌月。
来月の匿名男、
登場。
請求書を見る。
聞いてない。
もちろん聞いている。
先月の僕だから。
こうして、
今月を乗り切るために来月へ送り、
来月を乗り切るために再来月へ送る。
借金はどんどん増えていった。
そして38歳
現在。
38歳。
会社員。
毎月給料も入る。
20代の頃より収入も増えた。
絵も描いている。
生活も、あの極貧時代よりずっと普通になった。
そして借金。
約250万円。
…………。
どうしてこうなった。
いや。
ここまで読んだら、
どうしてこうなったかは結構分かる。
最初は5〜10万円だった。
働くために借りたお金だった。
そこから、
生活費。
制作環境。
引っ越し。
人付き合い。
生活環境の変化。
そして何より、
返済して足りなくなったお金を、また借りる。
これを何年も繰り返した。
毎月返しているのに、
完済する未来が見えない。
貯金もない。
そしてようやく思った。
これ、自力では終わらないんじゃないか。
そこで初めて、
僕は借金を「なんとか回す」のではなく、
「終わらせる方法」
を探し始めた。
そして出てきた言葉が、
個人再生。
なんかすごい名前である。